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2020年4月8日水曜日

Boys Will Be Bugs / Cavetown

久しぶりにブログを更新します。
世間の流れに竿をさして、あえて最近お気に入りの曲を紹介します。
Boys Will Be Bugs、日本語に訳すと、男子はめんどくさいんだよ、くらいの意味ですかね。

日本で言うところの「厨二」の歌とでも言えばいいのかな。
村上春樹ではなく野崎孝が訳したほうの「ライ麦畑で捕まえて」のようでもあり。
聞いていると、自分が中学2年生だったときの情景が総天然色で迫りくるのを感じます。
懐かしいです。もし神様に「この頃に戻りたい?」と尋ねられたら全力で拒否しますが。
気に入った部分を抜き出してみました。

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I just turned fourteen
(Just turned fourteen and I think the world revolves around me)
I'm a dumb teen boy
I don't care about the government
And I really need a hug

14になった。世界が自分を中心に回っている気がするね。
俺は間抜けな10代の男子だよ。
政治なんてどうでもいい。欲しいのはハグだ。

My mum told me that she's worried
And I couldn't give a shit
The other boys at school
Think it's cool to hate your parents

母さんは心配してるとかなんとか言ってくるんだ。
知るかよそんなの。
学校の他の男子は、親を憎むことがクールだって思ってんだ。

I feel stupid (stupid)
Ugly (ugly)
Pretend it doesn't bother me
I'm not very strong but
I'll fuck you up if you're mean to bugs

自分が愚かで醜い感じがする。
別に?みたいなふりをするけどね。
俺はあんまり強くない。
だけどな、ちょっかいかけてくるんだったらぶっ飛ばす。

I punch my walls, stay out at night, and I do karate
Don't message me 'cause I won't reply, I wanna make you cry

俺は壁をぶん殴るし、夜は外に出て空手をやるんだ。
メールなんてしてくるなよ。返事もしないからな。
お前を泣かせてやりたい。
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たぶん、こういう悩みを悩むことができる14歳が住む社会は、比較的幸せなのだと思います。こんな14歳でいることが出来なかった/出来ない人が大勢いるのも知っています。私たちの暮らす世界が、悩むべきものを悩める場所でありますように。世界史に記録されるであろう事態が現在進行形の今日この頃、そんなふうに考えました。









2018年11月22日木曜日

ボヘミアンラプソディを観てきました

クイーンの伝記映画、ボヘミアンラプソディを観てきました。最初にブレイクしたのは日本と言われることがあるほど、その人気は我が国で定着していますし、このバンドについての説明は不要ですよね。私は高校時代にバンド活動をしていたのですが、次はクイーンの曲をコピーしようとなったときに、ベース担当の幼馴染が提案したのが「Keep Yourself Alive」という曲でした。この映画でも冒頭で使用されています。(ちなみに、幼馴染は見た目は美少年、立ち居振る舞いはクイーンのベーシストであるジョン・ディーコン、しかし実は目立ちたがり屋という、意味のわからないキャラクターでした(笑)。いまは臨床心理士をしており、いわば同業者です!)

さて、わたしは高校生当時、彼が提案したこの曲の良さがどうにも理解できませんでした。なんだかガチャガチャしてて地味だと感じたのです。どうせクイーンの曲を演るんだったら、もっとキラキラした曲がたくさんあるじゃないか?と不満を覚えたことを覚えています。

映画では、クイーンのフロントマンであるフレディ・マーキュリーの孤独と苦悩が語られます。これについてはなんとなくここに書かないでおこうと思ったので、くわしくはコメントをしないでおきます。ひとつ、いいたいことは、ロックバンドのフロントマンが言いたいことは、基本的に同じなんじゃなかなと思います。伝説を作ってきた彼ら、彼女らの叫びは、すごくシンプルです。それは、
「わたしのことをわかってほしい」「ぼくはここにいるよ」
というものです。だから、私は彼ら彼女らの作り上げる作品に惹かれ続けてきたのかな、といまは考えています。

さて、私がクイーンで一番好きな曲は「'39」という曲です。「Keep Yourself Alive」も、「'39」も、フレディの曲ではなく、ギタリストのブライアン・メイの曲なんですよね。みなさんはどちらがお好みでしょうか?

このブログを書く前に、久しぶりに「Keep Yourself Alive」を聞き直してみました。やっぱり、なんだかガチャガチャした曲だなあと思いました(笑)。

では、また。



2018年9月1日土曜日

Rex Orange County - Loving is Easy (feat. Benny Sings)

どうにもしんどい時ってありますよね。
不安に不安が重なり、いてもたってもいられないとき。
くよくよが数珠繋ぎになって、前に進むことができないとき。

そんなときは、軽やかな気分になった「ふり」をしてみませんか?
意外と、出口が見つかるかもしれません。

部屋の中でふんわりと踊ってみましょう。
ダンスには自信がない?大丈夫。
あなたの部屋の中なら、ムカつく彼も、ウザい彼女もみてませんから。

お供に、こんな曲はどうでしょうか?ちょっと短いので、リピート再生ボタンをお忘れなく。



2017年8月20日日曜日

cocco - Sweet Berry Kiss

今晩は、沖縄出身の歌手、coccoさんのSweet Berry Kissを紹介します。
私は彼女のキャリアの中でも、根岸孝旨さんがプロデュースを担当していた時期が一番好きです。痛みを伴いつつも瑞々しい歌はもちろん、サウンドと録音のクオリティが驚くほど高いのです。良い意味でお金がかかっていて、商業ベースに乗った日本のロック音楽としての、ひとつの到達点なのではないかと思います。

さて、そんな彼女の名曲群の中で、私の一番のお気に入りはこの曲です。なんらかの事情があるのでしょう、曲の語り手は、今は両親との繋がりを失ってしまっているようです。あまり関係も良くなかったような印象も受けます。

全体を通して喪失感に包まれてはいるのですが、曲の最後では、わずかながら差し込む一筋の希望の光を、歌い手はしっかりと捉まえているように思えます。それが、この歌を特別なものにしていると感じます。

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I'll let you go along the shining blue sky 
I'll let you go along don't look back

But I awoke from a dream 
I call for you over and over again

Blackberries make Daddy smile 
Raspberries make Mommy smile 
Sweet berries make me cry oh cry

I lost my name who am I 
I lost my home where am I 
But I can fly high fly high so far 
So far away

真っ青な空へ飛んでいって
行かせてあげるよ 振り返らないで

だけど、夢から覚めたら
あなたの名前をなんどもなんども呼んでいる

ブラックベリーで父さんは笑顔になるし
ラズベリーで母さんは微笑む
スウィートベリーで私は涙を流す

名前をなくしてしまった 私は誰?
帰るところをなくしてしまった 私はどこ?
だけど 私は高く飛ぶことができる
遠くまで そう 遠くまで
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それでは、また。


2017年7月28日金曜日

Fountains Of Wayne - Troubled Times

世の中で一番ポップな曲をかけてください、と言われたら、私がかけるのはこの曲です。このアルバムの日本盤に書かれてあった宣伝文句は次のようなものでした。

「このアルバムが嫌いになれる人なんて、たぶん心が石でできているに違いない」

私はこういう言い回しを、基本的には好まないのですが、なかなかの売り口上ですね。

私の心は、どうやら石ではできていないようです、たぶん。




2017年4月28日金曜日

ハンバート ハンバート  まぶしい人

「すごい、どろどろした嫉妬心があるんです。そんな自分が嫌になります。これ、どうしたらいいんでしょうか?」

私が精神科医にになってから、ときどきいただく相談のひとつです。
私は新聞の人生相談担当の作家ではありませんから、気の利いた答えを返すことはできません。

これまで、答えのない疑問につきあたったときに私がしてきたことといえば、優れた音楽を聞いたり、小説を読んだりして、ただただ考えるということですかね。

上にあげた相談について考えていると、最近よく頭に浮かぶうたが、ハンバートハンバートの、まぶしい人、といううたです。

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君の悪口でさんざん笑って 家に帰ってひとり落ちこむ
人を押しのけてでも前に行く その強さが僕にもあったなら

君と友だちになる夢を見た 夢の中ではうまくやれてた
口に出さなくても思いはとどく 今度こそはうまくいく気がする
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なんとあたたかく、なんと情けないうたでしょうか。
このブログを書くにあたって、改めて聞いてみました。
上記の相談に対するこたえは何一つ浮かびませんでした。
けれど、まあ明日も生きていこう、という気にはなりました。

それでは、また。




2017年4月8日土曜日

あなたのアンセムはなんでしょうか?

アンセムとは...(wikipediaより)
元々は聖公会の教会音楽の一種。 聖歌、交唱賛美歌。 特定の集団のシンボルとしての賛歌、祝いの歌、祝曲。「 国歌(national anthem)」、「応援歌(sports anthem, stadium anthem, arena anthem)」など。

多くの人にとって、アンセムと言える曲があると思います。阪神ファンであれば「六甲おろし」、中日ファンであれば「燃えよドラゴンズ」、某有名私大出身の方であれば「都の西北」などなど...

私のアンセムといえば、90年代に圧倒的な人気を博した英国のロックバンド、OasisのDon't Look Back In Angerに尽きるかなと思います。この曲にはたくさんの思い出があるのです。いろんなところで、いろんな人と、何度大合唱したことか。とにもかくにも有名曲なので、いまだにテレビなどで流れてくるのですが、この曲を耳にするたびに、青春時代のアホウな自分が思い出されて、どこか遠くに出奔したくなります...。

私がそのアホウな青春時代を送った90年代は、本当の意味でのロックスターが存在した最後の年代だったんじゃないかと思います。Oasisは、その中の最後の打ち上げ花火のひとつでした。

あらためて聞くと、本当に良いうたですね。ああ、さらば、青春の光...

それでは、また。


2017年2月6日月曜日

With Honors (邦題:きっと忘れない)

With Honors (邦題:きっと忘れない)という映画を紹介します。

あらすじはこんな感じです。
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優等賞(With Honors)でのハーバード卒業を目指す主人公モンティは、ある雪の日に浮浪者サイモンと出会う。誠実である一方頑なで、やや傲慢な面も持ち合わせていたモンティは、サイモンとの交流により、少しずつ変わり始める。
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うーむ。ありがちですね(笑)。しかも私が以前に紹介したこの映画とも粗筋が似ています。私の好みがお分かりいただけたでしょうか(笑)。

主要人物は大学生でモラトリアム感満載ですし、やや青臭さが鼻につく場面も多いのですが、つい何度も見てしまう映画です。劇中の私の好きなセリフを紹介します。ジョー・ペシ演じるサイモンが、ブレンダン・フレイザー演じるモンティに宛てた手紙の文章です。

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You shall no longer take things at second or third hand.
Nor look through the eyes of the dead.
Nor feed on the specters in books.
You shall not look through my eyes either, or take things from me.
You shall listen to all sides and filter them from yourself.

「誰かが言った」なんて言ってくる奴は信用するな
死人の体験を信じるな 
本の中の幽霊の餌食にならないようにしろ
俺の体験や発言を間に受けるな
あらゆる側面に耳を傾け、お前自身のふるいにかけることを心がけろ
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これは、私が心理療法を学び、実践する上で常に大事にしていることとも重なります。私がこれまで教えを請い、そして、惜しみなくその経験と技術を伝授してくださった先生方にも底流しているスピリットであるようにも思います。

この映画をはじめて見たのは、20歳の頃くらいだったでしょうか。私のものの考え方、身の振りよう、そして精神科医としての姿勢を形作るのに、影響を与えた映画の一つなのかもしれないな、と、今あらためて思いました。

マドンナが歌うエンディングテーマも、淡々としている一方で感情的でもあり、非常に私好みです。よろしければ、ご鑑賞くださいね。それでは、また。










2016年12月19日月曜日

この世界の片隅に

この世界の片隅に、という映画を見てきました。

観た後に、良い意味で、じわじわと、自分の日々の生活に染み入ってくるような、そんな映画です。各所で言い尽くされていることではあるのですが、主役を演じるのんさんが素晴らしいです。

私たちは、みんな、この世界の片隅で生きているんですよね。その片隅ごとが地続きになっていて、世の中は動いているわけです。だとしたら、その片隅に生きる私にできることはなんぞやetc...

とまあ色々な考えが浮かび上がってきています。お勧めです。
それでは、また。

2016年12月11日日曜日

Leyonaさんのライブに行ってきました

先日、久しぶりにライブに行ってきました。

歌い手はLeyonaさん。彼女の新譜発売に伴って行われているツアーを観に奈良県まで行ってきました。会場は奈良公園近くのフランツ・カフカというブックカフェでした。Leyonaさんは、ルーツミュージックの影響が色濃く感じられる方で、玄人筋に人気が高く、いわゆるミュージシャンズ・ミュージシャンというやつですね。

今回は臼井ミトンさんというプロデューサーとの二人舞台で、この方もまた、すんばらしいシンガーソングライターなのです。

一つ一つの音、ことばを大事にした曲のひとつひとつを、噛みしめるように聴くことができるライブで、2時間強の幸せな時間をすごすことができました。

精神科医として修練するために、論文を読んだり、テキストブックを読んだりするのは大事なことです(というか必須です)。一方で、こういったインプットも同様に大事だな、と改めて感じました。

明日から月曜日ですね。診察予定の皆様、どうぞよろしくお願いします。



2016年10月13日木曜日

【祝・ノーベル文学賞】ボブ・ディラン

今年のノーベル文学賞はボブ・ディランでしたね。村上春樹と同じく、以前より受賞の噂がありましたので驚きませんでしたが、それにしてもすごいですね。久々に、昔買った彼の詩集を取り出してしまいました。

私、以前とある場所で、聴衆を前にボブ・ディランの歌詞を朗読したことがあるのです。選んだのは、"Like A Rolling Stone"という、彼の代表曲の中の代表曲です。

歌詞はこんな感じです。

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昔、あんたは着飾ってたね 物乞いに恵んでいたっけ
周りのやつはこう言ってただろう
「気をつけな。今に転落するぞ。」ってね
あんたはそれを笑っていた

いま、あんたは声を潜めてる
いま、あんたは鼻にかけることもしない
次の食事をどうするかってことについてね

一流校に通っていたんだっけ、お前さんは
得たものといえば、ただ搾り取られることに慣れただけ
道ばたでの生き延び方なんて、誰も教えてくれりゃしなかった
いま、お前さんはそれに慣れなきゃいけない

妥協はできないって言ってたね 
どこの馬の骨かわからないやつは嫌だと
だけどな、あいつだってアリバイを売ってたわけじゃないんだ
彼の真空の目を覗いて尋ねてみるといい
「あなたは取引がしたいの?」ってね
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破産した金持ちや、没落した元上流階級の人間を痛めつけているだけのようにも聞こえますね。

このあと、彼はこう問いかけます。

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How does it feel?
How does it feel?
To be without a home
Like a complete unknown, like a rolling stone

どんな気がする?
どんな気がする?
宿無しで、誰にも知られていない
まるで転がる石のように
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さらに駄目押ししてるようにも聞こえるでしょうか?私はそう感じませんでした。はじめてこの歌詞を読んだ時、なぜか暖かさを感じたことを覚えています。彼が問いかけている人たち、金や地位に恵まれていたその人たちは、偽りの人生を送ってきたのではないでしょうか。

さあ、ありのままの自分を見つめてみろ。そこから何が見える?何を感じる?しっかり考えてみろよ。お前はこれから自分の足で人生を生きていくんだから。身一つになった彼ら/彼女らに、彼が厳しくも、優しく、問いかけているように思えるのです。

以上、ロックの歴史を変えたと言われる名曲中の名曲に対する、中学生の頃からの私の勝手な解釈を開陳してみました(笑)。

ボブ・ディランさん、本当におめでとうございます!












2016年6月27日月曜日

UA ミルクティー

ある肌寒い冬の日に、すごく嫌なことがあって、とぼとぼ帰宅していたら、雨まで降ってきた。やれやれ、泣きっ面に蜂とはこのことだな、と、ぶつくさ呟きながら、ボロボロになって帰宅したとします。まず、どうしたいですか?私は、あったかいミルクティーが飲みたいな、と思います。

UAさんの名曲、ミルクティーを聞くと、いつもそんな光景が頭に浮かんできます。すごく優しくて、大好きなうたです。プロデュースは朝本浩文さんですが、今聴いても全く色あせないサウンドですね。

みなさんにとっての御器所こころのクリニックが、そんな存在〜冬の日のミルクティー〜になれていたらよいのですが。

寝苦しくなってきた、ある夏の晩に、そんなことを考えました。
それでは、また。




2016年5月29日日曜日

Lake Street Dive - Stop Your Crying

私も歳をとって感性が鈍ってきたのでしょうか、音楽の新規開拓をめっきりしなくなってきて久しい今日この頃です。そんな私の感度の悪いアンテナにもひっかかってきたバンドがあります。

Lake Street Diveという米国はボストンの四人組です。同じ学校でジャズをやっていて知り合った四人組だそうです。下記に紹介する動画はStop Your Cryingという曲のスタジオライブ演奏です。自信があるのでしょう、サウンドにお化粧をせず、シンプルに、技術をひけらかさずに、あえてスカスカの音で演奏していますが、かえって演奏力の高さが際立っているように思います。

創造的な才能をもつ人たちってすごいですね。尊敬します。まあ、そういう人たちを羨んでも仕方ないので、私は私なりに、日々できることを積み重ねていくこととします。

明日からまた月曜日の診療が始まります。受診予定の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。







2016年4月29日金曜日

歓びを歌にのせて





















「歓びを歌にのせて」というスウェーデン映画を紹介します。


あらすじはこんな感じです。

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病気でキャリアを中断せざるを得なかった世界的指揮者である主人公(ダニエル)は、失意の中故郷へ戻った。そこで出会ったのはアマチュア聖歌隊の面々。彼らのとの交流の中で、ダニエルは、何物にも替え難いものを得て、本当の人生を歩み始める...
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ありがちですよね?私、この手のストーリーに目がないのです。事前にある程度のストーリーは知っていたので、ちょいと心温めさせてもらおうという気持ちで鑑賞を始めました。

しかし、実際の内容は「ちょいと心温めさせて」もらうような軽いものではありませんでした。主人公を含めて、登場人物は誰もが深い葛藤を抱えており、劇中ではこれでもかというくらい、その葛藤をぶつけ合うのです。

ぐったりと疲れる映画でした。言いたいことを抑えて、それなりに日々の暮らしを送ってきた人たちを、主人公が振り回しただけじゃないか、というツッコミもありかな、と思います。一方で、一歩踏み出した彼ら/彼女らが見せてくれる、後悔のない澄み切った笑顔が忘れられません。

この映画はスウェーデン人の五人に一人が観て、劇中歌である「ガブリエラの歌」も大ヒットしたんだそうです。歌詞の一部を紹介します。

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生きている歓びを心から感じたい
私に残されたこれからの日々に
自分の思うままに生きていこう
生きている歓びを心から感じたい
私はそれに価すると誇れる人間だから

チャンスに恵まれない人生だったけど
生きたいという意思が私を支えてくれた

探し求めていたまぼろしの天国
それは近くにある どこか近くに
私はこう感じたい
「私は私の人生を生きた!」と
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ものすごい名曲です....聞くたびに心揺さぶられます....
生きているうちに、少しでも多く、こういった作品に出会いたいものです。

注:暴力的なシーンが含まれる映画です。そういったものが苦手な方にはお勧めしません。













2015年12月26日土曜日

ドリー・パートンとホイットニー・ヒューストン、そして、自分の言葉で語ること

I Will Always Love Youというバラードの名曲があります。我が国でも認知度が非常に高い曲と思います。今は亡きホイットニー・ヒューストンの主演映画であるボディーガードのクライマックスで歌われる曲といえばお分かりでしょうか。ホイットニーバージョンはとにかく力強く、まさにパワーバラードといった趣です。

この曲は、もともとはドリー・パートンというカントリー歌手のオリジナル曲です。彼女も超ビッグネームなのですが、我が国ではそこまで知られていないのではないかと思います。オリジナルバージョンは、ホイットニーバージョンとは対照的で、今にも糸が切れてしまいそうな物哀しい雰囲気が漂っています。

私は、オリジナルバージョンの方が、遥かに好みです。どうしてオリジナルの方が優れていると感じるのか、もちろん説明はできるのですが、どうしても、ホイットニーさんの方を貶してしまうような表現になってしまいますし、どうもしっくりこないなあ、とずっと感じていました。

で、先ほどネットをぶらぶらと探索していたところ、これだ!というコメントを見つけました。英語のコメントでしたが、そこにはこう書いてありました。

「ホイットニーも素晴らしい。だけど、誰もドリーのオリジナルは越えられない。この曲を、感じて、生きて、書いたのは彼女なのだから。」

これ以上の説明はないな、と思います。

患者さんが自身の体験や挑戦を経て、状態の改善につながる大きな発見をし、そしてそれについてご自分の言葉で語ってくださる時があります。私がこの仕事していてよかったと思う瞬間の一つです。そういったときに語られる言葉の一つ一つに強い生命力と、説得力を感じるのです。なぜなのか。ネット上で見つけた、先ほどのコメントに、その答えがあるような気がします。

それでは、また。




2015年11月3日火曜日

The Price You Pay - Bruce Springsteen

Bruce Springsteenを紹介します。我が国の音楽シーンにも多大な影響(有名どころでは、尾崎豊、佐野元春、長渕剛あたりでしょうか)を与え続けてきた偉大なロックシンガーです。

(それぞれの熱心なファンの方々は一緒にするなと怒りそうですが、)尾崎、佐野、長渕と聞いてどんな音楽スタイルをイメージされるでしょうか。スタジアムなどの大きな会場で、悩める若者たちを鼓舞する熱きカリスマといった光景ではないでしょうか。

それは、部分的には当たっているのですが、私が好きなブルースはそこではありません。彼は、非常に内省的な歌詞を書きます。要するに暗いのです。この暗さに惹かれます。一番好きな曲は、「Wreck On The Highway」という曲なのですが、この曲は交通事故の光景が詳細に語られる曲であり、心療内科・精神科クリニックのブログとしては、紹介するのが適切でないと考えられるので控えます。

同じくらい好きな曲として、「The Price You Pay」という曲があります。人生の選択につきまとう代償について歌われている曲です。(どちらの曲も、The Riverという傑作アルバムに収められています。)

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Little girl down on the strand 
With that pretty little baby in your hands 
Do you remember the story of the promised land 
How he crossed the desert sands 
And could not enter the chosen land 
On the banks of the river he stayed 
To face the price you pay 

その手に愛らしい赤ん坊を抱いた少女が水辺に佇んでいる
約束の地の物語をお前は覚えているだろうか
彼が如何に砂漠を越えたのか
選ばれた地に入ることが許されず岸辺に立ち止まっていたのかを
払うべき代償に直面するために

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生きるということは行動の選択を連続していくことであり、そして、そこには必ず代償がつきまとう。代償に怯えて生きていくのか、それとも...

高校生の頃、この曲を聴きながら、いろいろと考えを巡らせていたことを覚えています。われながら暗い高校生ぶりに呆れてしまいますが(笑)、まあこうして毎日踏ん張っているので良しとします。明日も診療です。来院予定の皆様、よろしくお願いします。




2015年9月8日火曜日

山本周五郎 ながい坂

高校生の頃、短編を中心によく読んでいたのが山本周五郎です。今回、気まぐれに読み始めたのが、この「ながい坂」だったのですが、なぜもっと早くこれを読まなかったのだろうと後悔させられるほどに素晴らしい作品でした。

主人公である主水正のまなざしは、徹底して相対化されています。

「善人と悪人の区別はない、人間は誰でも、善と悪、汚濁と潔癖を同時にもっているものだ、大義名分をふりかざす者より、恥知らずなほど私利私欲にはしる者のほうに、おれは人間のもっとも人間らしさがあるとさえ思う」

主水正は何度も精神的、肉体的に追い詰められます。そんな時、彼がまず取り組むことは、熟慮を重ねることでもなく、解決に向けた行動を急ぐことでもありません。ただただ、自分自身を深く観察しようとします。

「青淵の死は、自分にとって非常な打撃である。こんなとき人はよく、半身を奪われたようなとか、胸に大きな穴があいたようだとかと、受けた打撃の大きく深いことを表現する。自分はどうだろう、主水正はすなおな気分で、自分の心の状態をよく客観してみた。」「おれたちがまったく忘れているときでも、井関川の水は休まずに流れている。」「世の中も人間も時のながれの中にいるし、そのながれは一瞬もとどまることがないのだ。」

そして、精神科医として気になったのが、我が子を失った衝撃から立ち直ることが難しくなっている「ななえ」という女性の描写です。

「ななえの頭は、流産した子のことでいっぱいのようであった。彼女は空想の中でいつも抱いたりあやしたり、添い寝をしていたりするようであった。」「それは空想にとらわれているようではなく、現実そのもののように切実であり、なまなましい実感がこもってい」た。

近親者などの死による悲しみが長期間続き、それにより日常生活に障害が起きている状態のことを複雑性悲嘆と呼びますが、「ななえ」は、それに近い状態にあるようです。複雑性悲嘆については、当クリニックでも将来的に取り組んでいく予定です。今後、当ブログでそのご報告ができればと思います。

最後にもうひとつご紹介です。

「自然の容赦ない作用に比べれば」「貧富や権勢や愛憎などという、人間どうしのじたばた騒ぎは、お笑いぐさのようなものかもしれない。」だが、「お笑いぐさと云われるようなわざを積み重ねるところにこそ」「人間の人間らしい生活をたかめてゆく土台があるんだ」

人間どうしのじたばた騒ぎ。お笑いぐさ。大いに結構。
私も、お笑いぐさと云われるようなわざを、地道に積み重ねていきたいと思います。

それでは、また。






2015年8月22日土曜日

Legendary Hearts - Lou Reed

Lou Reed(1942-2013)のLegendary Heartsという曲を紹介します。Lou Reedはアート方面からも評価が高いVelvet Undergroundというバンドのフロントマンだった人ですが、私はなによりも、彼のソングライティング能力の高さに惹かれます。シンプルで、力強いうたを書くのです。

俺たちは、ロミオとジュリエットのような伝説的な恋人たちにはなれそうもない、どだい俺はそんな柄じゃないのさ、という嘆き節から始まるこのうたは、曲の終盤に近づくにつれ力強さを増していきます。そして、最後はこのような一節で幕を閉じます。

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No legendary love is coming from above.
It's in this room right now.
And you've got to fight to make what's right.
You've got to fight to keep your legendary love.

伝説の愛は天からやってくるのではない。
それは、まさにこの瞬間、この部屋にあるんだよ。
そして、正しいことを成すためには、君は戦わなくてはならない。
成し続けたいのであれば、君は戦わなくてはならないんだ。
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静かで、淡々としていて、気高く、力強い。
完璧な曲です。

それでは、また。
































2015年7月9日木曜日

無から出た錆 熊木杏里

医療機関における初めての診察のことを初診といいます。当クリニックの場合、初診時にはまず、何にお困りなのか、いつからその困りごとが始まったのかなどをお聞きします。そして、その方が今日まで、どのように生活してこられたのかもお話ししていただきます。(もちろん、無理に聞き出したりはしません。話したくないことは話さなくてもかまいません。)

さて、唐突ですが、熊木杏里さんの「無から出た錆」というアルバムがあります。冒頭を飾るのが「長い話」という曲なのですが、曲名とはうらはらに、5分強という短い時間の中で彼女はこれまで生きてきた20数年間を一気に語りきってしまいます。(歌詞のリンクはこちら)

不安を抱えつつ訪れたクリニックで、初めて対面した人間に、自分のこれまでを、限られた時間で語り切るのはおそらく無理です。私たちは才能にあふれたシンガーソングライターでも、表現力豊かな詩人でもありませんから。

診察は1回で終わってしまう訳ではありません。あなたが何にお困りなのか、あなたがどういう人間なのか、ゆっくり、焦らずにお話しいただければと思います。


2015年3月29日日曜日

朝ドラ「マッサン」

昨晩は、NHKの朝ドラ「マッサン」の最終回でした。朝ドラを最初から最後までほぼ完璧に観たのはこれが初めてでした。これから自分がクリニックを運営していく上で参考になるようなシーン、出来事、セリフが沢山あり、惹きつけられてしまったのです。ある勉強会で、大変尊敬している先生がマッサンの話を連発しておられて「そのお気持ち、わかります!!」と、内心小躍りした、なんてこともありました。

印象に残っているシーンはいくつもあるのですが、自分の夢を貫くかどうかで迷っているマッサンに、父親が語りかけたシーンが忘れられません。マッサンの父親はこう言いました。

「頭で考えてうまくいかん時は、とにかく体を動かして、汗をかいてみるんじゃ。
 ほしたらたいがい、自分の道は見えてくらあよ。」

文脈によっては体育会系根性論になってしまいますが、彼の意図はそれとは異なるものだったように思います。クリニック開院まで山あり谷ありが続くと思いますが、このセリフを思い出しつつ、今できることを淡々と積み重ねていこうと思っています。