さて、唐突ですが、熊木杏里さんの「無から出た錆」というアルバムがあります。冒頭を飾るのが「長い話」という曲なのですが、曲名とはうらはらに、5分強という短い時間の中で彼女はこれまで生きてきた20数年間を一気に語りきってしまいます。(歌詞のリンクはこちら)
不安を抱えつつ訪れたクリニックで、初めて対面した人間に、自分のこれまでを、限られた時間で語り切るのはおそらく無理です。私たちは才能にあふれたシンガーソングライターでも、表現力豊かな詩人でもありませんから。
診察は1回で終わってしまう訳ではありません。あなたが何にお困りなのか、あなたがどういう人間なのか、ゆっくり、焦らずにお話しいただければと思います。