2017年4月28日金曜日

ハンバート ハンバート  まぶしい人

「すごい、どろどろした嫉妬心があるんです。そんな自分が嫌になります。これ、どうしたらいいんでしょうか?」

私が精神科医にになってから、ときどきいただく相談のひとつです。
私は新聞の人生相談担当の作家ではありませんから、気の利いた答えを返すことはできません。

これまで、答えのない疑問につきあたったときに私がしてきたことといえば、優れた音楽を聞いたり、小説を読んだりして、ただただ考えるということですかね。

上にあげた相談について考えていると、最近よく頭に浮かぶうたが、ハンバートハンバートの、まぶしい人、といううたです。

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君の悪口でさんざん笑って 家に帰ってひとり落ちこむ
人を押しのけてでも前に行く その強さが僕にもあったなら

君と友だちになる夢を見た 夢の中ではうまくやれてた
口に出さなくても思いはとどく 今度こそはうまくいく気がする
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なんとあたたかく、なんと情けないうたでしょうか。
このブログを書くにあたって、改めて聞いてみました。
上記の相談に対するこたえは何一つ浮かびませんでした。
けれど、まあ明日も生きていこう、という気にはなりました。

それでは、また。




2017年4月10日月曜日

こころの検査について

例えば高血圧の方が、降圧薬を飲みはじめたとします。その薬が効いているのかどうかは、血圧の推移をみればわかりますよね。また、糖尿病なら血液検査をして、血糖値やHbA1cの推移をみれば良いわけです。じゃあ精神科はどうなのでしょうか?

もちろん、精神科にも症状の程度を表す尺度が、精神障害ごとに存在します。例えば、うつ病ならHAM-D、BDI-II、QIDS、パニック障害ならPDSS、社交不安障害ならL-SASといった具合です。

当院では、こういった客観的な尺度を、治療の要所要所で計測し、現在の状態や治療の効果を皆様に説明することをこころがけています。とくに、認知行動療法を行う方については、こういった客観的な尺度の測定は、ほぼ全例で行なっています。(より正確に申し上げると、認知行動療法が認知行動療法であるためには、何らかの方法を用いて症状を客観的に測定することは、必須の手続きです。)

まあでも、これって当たり前のことですよね。血圧を一切はかることなしに高血圧の治療をされたらどう思いますか?採血して血糖値を測ること一切なしに糖尿病の薬を渡されたらどう思いますか?どうしても特別視されがちな精神科領域の治療ですが、このあたりは他の科と違いはないのです。(そして、たぶん、高血圧の人の血圧の数値が「単に下がる」ことよりも、たとえばパニック障害の人のPDSSの数値が「単に下がる」ことの方が、価値のあることなのです。この辺りのことについては、別の機会に説明できれば、と思います。)

これまでも、これからも、当たり前のことを、当たり前に行う精神科・心療内科クリニックであり続けたいと考えています。

2017年4月8日土曜日

あなたのアンセムはなんでしょうか?

アンセムとは...(wikipediaより)
元々は聖公会の教会音楽の一種。 聖歌、交唱賛美歌。 特定の集団のシンボルとしての賛歌、祝いの歌、祝曲。「 国歌(national anthem)」、「応援歌(sports anthem, stadium anthem, arena anthem)」など。

多くの人にとって、アンセムと言える曲があると思います。阪神ファンであれば「六甲おろし」、中日ファンであれば「燃えよドラゴンズ」、某有名私大出身の方であれば「都の西北」などなど...

私のアンセムといえば、90年代に圧倒的な人気を博した英国のロックバンド、OasisのDon't Look Back In Angerに尽きるかなと思います。この曲にはたくさんの思い出があるのです。いろんなところで、いろんな人と、何度大合唱したことか。とにもかくにも有名曲なので、いまだにテレビなどで流れてくるのですが、この曲を耳にするたびに、青春時代のアホウな自分が思い出されて、どこか遠くに出奔したくなります...。

私がそのアホウな青春時代を送った90年代は、本当の意味でのロックスターが存在した最後の年代だったんじゃないかと思います。Oasisは、その中の最後の打ち上げ花火のひとつでした。

あらためて聞くと、本当に良いうたですね。ああ、さらば、青春の光...

それでは、また。