2016年3月16日水曜日

不安は「有害な」感情で、除去すべき「症状」?

医学では、人間をある種のロボットのようにみなすことがあります。

つまり、病気になった人は、全身のどこかのパーツや回路に異常や不具合があるとみなすのです。ですから、病気を治すためにはそのパーツや回路を取り外す/修理調整する(手術)、交換する(移植)、油をさす/充電する(投薬)ことで対応するわけです。機械主義的な世界観とでも言えるでしょうか。このやり方で、西洋医学はめざましい進歩を遂げてきました。

この考え方(医学モデル)は、精神科領域にももちろん適用されています。ただし、こういったやり方が精神科領域では有害となりうることもあるのです。その代表格が「不安・不安症状」への対処です。

不安・不安症状に対して、我が国では抗不安薬(いわゆる精神安定剤)が頻用されています。多くの場合、不安・不安症状を「有害症状」として捉え、これを「除去」するという狙いのもと抗不安薬が処方されているように感じます。

不安を除去しようとする試みは、うまくいかないこともあります。なぜならば、不安は私たちにとって必要な感情だからです。抑え込もうとすればするほど膨れ上がったり、よしんばうまくいったようにみえても、その代償として活き活きとした感情もろとも抑え込んでしまうことにもなりかねません。

不安・不安症状は除去するのではなく、波乗りをするがごとく、あるがままに乗りこなしていくことが肝要です。もちろん、一筋縄ではいかないのですが、そのお手伝いをさせていただくのが、私の役目の一つと考えています。ご相談をお待ちしております。