今晩は、沖縄出身の歌手、coccoさんのSweet Berry Kissを紹介します。
私は彼女のキャリアの中でも、根岸孝旨さんがプロデュースを担当していた時期が一番好きです。痛みを伴いつつも瑞々しい歌はもちろん、サウンドと録音のクオリティが驚くほど高いのです。良い意味でお金がかかっていて、商業ベースに乗った日本のロック音楽としての、ひとつの到達点なのではないかと思います。
さて、そんな彼女の名曲群の中で、私の一番のお気に入りはこの曲です。なんらかの事情があるのでしょう、曲の語り手は、今は両親との繋がりを失ってしまっているようです。あまり関係も良くなかったような印象も受けます。
全体を通して喪失感に包まれてはいるのですが、曲の最後では、わずかながら差し込む一筋の希望の光を、歌い手はしっかりと捉まえているように思えます。それが、この歌を特別なものにしていると感じます。
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I'll let you go along the shining blue sky
I'll let you go along don't look back
But I awoke from a dream
I call for you over and over again
Blackberries make Daddy smile
Raspberries make Mommy smile
Sweet berries make me cry oh cry
I lost my name who am I
I lost my home where am I
But I can fly high fly high so far
So far away
真っ青な空へ飛んでいって
行かせてあげるよ 振り返らないで
だけど、夢から覚めたら
あなたの名前をなんどもなんども呼んでいる
ブラックベリーで父さんは笑顔になるし
ラズベリーで母さんは微笑む
スウィートベリーで私は涙を流す
名前をなくしてしまった 私は誰?
帰るところをなくしてしまった 私はどこ?
だけど 私は高く飛ぶことができる
遠くまで そう 遠くまで
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それでは、また。
2017年8月20日日曜日
2017年8月13日日曜日
心理療法の流派について
心理療法とひとくちに言っても、様々な流派があります。
精神分析、認知行動療法、対人関係療法、来談者中心療法、EMDR、などなど...。
私はそのなかのひとつ、認知行動療法を専門としているのですが、実は認知行動療法の中にも様々な学派・流派があり、もう何がなんやら...という感じになっているんですね。
そんな中で、私が最近お気に入りの精神療法家は、John C. Markowitzという精神科医です。彼が専門とするのは対人関係療法という心理療法なのですが、認知行動療法の訓練・実施・指導経験もあるようで、だからなのでしょう、非常に柔軟な思考を持っておられるようです。そして、彼の著書を拝読すると、患者さんの利益を第一に考えていることが、文面のあちらこちらからにじみ出ているんですね。ちょっと紹介してみますね。(わかりやすくするために、やや意訳します)
Interpersonal Psychotherapy for Posttraumatic Stress Disorder(2016)より
「あるカンファレンスで、『認知行動療法をディスる野郎』と紹介されたことがある。私はそんなことは全く思っていない。私は認知行動療法の訓練・治療・指導も行なってきているのだ。認知行動療法が効果的であることはわかっている。ただ、認知行動療法が患者さんを治療する唯一の手段ではないと思っているだけだ。」
「心理療法の歴史は、流派間の多くの争いで彩られてきた。だけど、患者さんたちが、最良の治療を受けられるように、心理療法家たちで協力して取り組んでいくべきだと私は思う。」
Interpersonal Psychotherapy for Dysthymic Disorder(1998)より
「心理療法家が、全ての患者を『プロクルステスのカウチ』に乗せて、単一の治療法を当てはめる時代は過ぎ去ったと私は信じている。全ての患者に全く同じ薬を処方する薬物療法家なんて、いないようにね。」
私が主軸とする心理療法は、これからも認知行動療法ですが、認知行動療法の治療効果を増すためにも、幅広い視点が必要と考えています。例えば、複雑性悲嘆をお持ちの方に対して、私は「Complicated Grief Treatment」を行うことがありますが、この治療法は、認知行動療法と、対人関係療法と、動機づけ面接のハイブリッドなのです。認知行動療法のことだけ考えて、訓練を続けるわけにはいかないということですね。
目の前の患者さんに対し、最適な治療は何か。常に自問自答し、訓練を重ねていきたいと考えています。
それでは、また。
精神分析、認知行動療法、対人関係療法、来談者中心療法、EMDR、などなど...。
私はそのなかのひとつ、認知行動療法を専門としているのですが、実は認知行動療法の中にも様々な学派・流派があり、もう何がなんやら...という感じになっているんですね。
そんな中で、私が最近お気に入りの精神療法家は、John C. Markowitzという精神科医です。彼が専門とするのは対人関係療法という心理療法なのですが、認知行動療法の訓練・実施・指導経験もあるようで、だからなのでしょう、非常に柔軟な思考を持っておられるようです。そして、彼の著書を拝読すると、患者さんの利益を第一に考えていることが、文面のあちらこちらからにじみ出ているんですね。ちょっと紹介してみますね。(わかりやすくするために、やや意訳します)
Interpersonal Psychotherapy for Posttraumatic Stress Disorder(2016)より
「あるカンファレンスで、『認知行動療法をディスる野郎』と紹介されたことがある。私はそんなことは全く思っていない。私は認知行動療法の訓練・治療・指導も行なってきているのだ。認知行動療法が効果的であることはわかっている。ただ、認知行動療法が患者さんを治療する唯一の手段ではないと思っているだけだ。」
「心理療法の歴史は、流派間の多くの争いで彩られてきた。だけど、患者さんたちが、最良の治療を受けられるように、心理療法家たちで協力して取り組んでいくべきだと私は思う。」
Interpersonal Psychotherapy for Dysthymic Disorder(1998)より
「心理療法家が、全ての患者を『プロクルステスのカウチ』に乗せて、単一の治療法を当てはめる時代は過ぎ去ったと私は信じている。全ての患者に全く同じ薬を処方する薬物療法家なんて、いないようにね。」
私が主軸とする心理療法は、これからも認知行動療法ですが、認知行動療法の治療効果を増すためにも、幅広い視点が必要と考えています。例えば、複雑性悲嘆をお持ちの方に対して、私は「Complicated Grief Treatment」を行うことがありますが、この治療法は、認知行動療法と、対人関係療法と、動機づけ面接のハイブリッドなのです。認知行動療法のことだけ考えて、訓練を続けるわけにはいかないということですね。
目の前の患者さんに対し、最適な治療は何か。常に自問自答し、訓練を重ねていきたいと考えています。
それでは、また。
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