今回は、処方変更の要望について書いてみます。
当クリニックに転院してこられる方の中には、前院に不満をお持ちだった場合があります。その場合、差し支えなければ何が不満だったか伺うようにしていますが、結構多いのが「薬を替えてくれなかった」です。
治療を批判したかのようにとられて、主治医を怒らせるんじゃないか、と思ってしまうこともあり、なかなか言いにくいですよね。私も自分が患者の立場に回ると、なかなかお医者さんには意見しにくさを感じますのでその気持ちはよくわかります。
ちなみに私の場合はというと、大歓迎です。「別の薬を試したい」「他の薬物療法の選択肢はないか?」などなんでもどうぞ。薬を絶対に変更して欲しくないという方もいらっしゃいますので、要望を伝えてくれますとむしろ助かります。
一方で「減らして」「中止して」という要望には、おいそれと応じにくい場合もあります。たとえば統合失調症や双極性障害を抱える方の場合、減薬や断薬は症状の再発、再燃につながるリスクがあるためです。うつ病の方の場合も、再発を繰り返している場合は、諸手を挙げて賛成できない場合もあるかと思います。
ひょっとしたら前院のケースでも、
精神科医「この方は処方変更して欲しくなさそうだな」
患者さん「薬変えて欲しいのに、一向にその様子がないな…」
みたいな双方のズレが、不幸にも起きていたケースもあるんじゃないかなと思います。
しかし、さっきも書いたように患者さんからは言いにくい場合もあるので、精神科医の方から処方ニーズを探る問いかけをしたり、患者さんが要望しやすい雰囲気作りをすることが必要ですよね。まだまだ至らないところも多いと思いますので、よりよいやりとりができるように工夫していきたいと思います。
もうすぐ春ですね。行き詰まりを感じたら、桜を見に散歩に出かけてみたりしても、いいかもしれませんね。