この土日は、ある精神科の病気(心の困りごと)をテーマとした講演会に行ってきました。様々な流派の治療者が、その困りごとに対する治療法をプレゼンテーションしてくださる形式でした。講演を聴きながら、明日からの臨床に活かせる知識を得たり、演者のキラリと光る一言をメモしたり、自分ならどうするだろうと考えを巡らせたりしながらの二日間でした。
最後に、一堂に会した演者達に対する質疑応答の時間があり、私も質問をしました。二つ質問をしたのですが、二つ目の質問は私の質問の仕方が悪かったこともあり、消化不良でやり取りを終えることとなりました。(限られた時間内でしたので、他の参加者のためにも、質問は一つにしておくべきでした…)
さて、私は「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」をモットーに、講演会などで質疑応答の時間が設けられたら、可能な限り質問するようにしています。演者達はそれぞれのスタイルで回答をくださり、普段の臨床スタイルが垣間見れるようで大変興味深いのですが、やりとりが記憶に残る演者には共通した特徴があるかなと思います。
・質問者の質問内容に耳を澄ませ、必要があれば質問者の意図を明確化したのちに、回答を始める(だって、質問の内容を理解しなければ、回答なんてできっこありませんよね)
・質問者に敬意を払った態度を示す(ある演者の方は、誠実に回答いただいた後「これでお答えになっていますか?」と確認してくださいました。私はその時、まだまだ経験の浅いぺーぺーの身分だったこともあり、いたく感激した覚えがあります)
・主観(自分の意見)と客観(データ)を明確に区別して答える(多くの場合、私が知りたいのは主観です。客観は自分で論文を読めば済むことですから。とはいえ、終始主観でごり押し回答、というのも困ってしまいます…)
私も頼まれて講演やワークショップの講師をすることがありますが、上に書いたようなことを意識して質問に答えるようにしています。たとえば、私は「それはいい質問ですね!」とは言わないようにしています。多くの場合、それは「いい質問」というよりはむしろ、演者が「話したいこと」と一致しているに過ぎないからです。あと、質問に「いい」「悪い」と価値判断を下すこと自体がやや上から目線かな、と感じます。
さて、演者と聴衆の関係って、医者と患者さんの関係に似ているときもあります。医者は「知っている人」で、患者さんは「知らない人」であるという認識に、医者が微塵の疑いも持たない場合、両者のコミュニケーションはどうなるでしょうか。結果は目に見えていますよね。
そんなこんなをグルグルと考えつつ、今日も一日が終わろうとしています。明日から新しい一週間が始まります。受診してくださる皆様、どしどしご質問くださいね。良き回答者となれるように精進いたします!