2016年6月15日水曜日

ベゲタミン販売停止

ベゲタミンという薬が今年限りで販売停止となることが明らかになりました。この薬は、フェノバルビタール、クロルプロマジン、プロメタジンの3つの成分からなる合剤です。この中で特にタチが悪いのが、フェノバルビタールです。フェノバルビタールを睡眠薬目的として使用した場合、一度服用を始めると大変やめにくく、すぐに効果が弱くなり、有効量を少し上回る量を服用しただけで命に関わる事態を引き起こします。このため、ベゲタミン依存の患者さんが多数出てくることになってしまったのです。

今回の販売停止は、この状況を重く見た日本精神神経学会からの要望を販売会社が受け入れ、実現したようです。

(自慢するようなことでは全くないのですが)私は精神科医になって以来、自分からこの薬を処方開始したことは一度もありません。いかなる患者さんにとっても、この薬の存在意義は全くないと考えていたからです。

私に担当変更となった患者さんにベゲタミンが使用されていた場合は、必ずその害について説明し、使用を中止するようにしていました。その薬を処方していた医師が先輩であろうと、高名な医師であろうと、これについては1ミリも譲歩しませんでした。(繰り返しますが、これは自慢するようなことでは全くありません。)

今回の販売停止の決定は遅すぎました。しかし、私はこれを歓迎します。患者さんの立場を第一に考え、今後もお薬の適正使用を心がけていきたいと思います。