2017年4月10日月曜日

こころの検査について

例えば高血圧の方が、降圧薬を飲みはじめたとします。その薬が効いているのかどうかは、血圧の推移をみればわかりますよね。また、糖尿病なら血液検査をして、血糖値やHbA1cの推移をみれば良いわけです。じゃあ精神科はどうなのでしょうか?

もちろん、精神科にも症状の程度を表す尺度が、精神障害ごとに存在します。例えば、うつ病ならHAM-D、BDI-II、QIDS、パニック障害ならPDSS、社交不安障害ならL-SASといった具合です。

当院では、こういった客観的な尺度を、治療の要所要所で計測し、現在の状態や治療の効果を皆様に説明することをこころがけています。とくに、認知行動療法を行う方については、こういった客観的な尺度の測定は、ほぼ全例で行なっています。(より正確に申し上げると、認知行動療法が認知行動療法であるためには、何らかの方法を用いて症状を客観的に測定することは、必須の手続きです。)

まあでも、これって当たり前のことですよね。血圧を一切はかることなしに高血圧の治療をされたらどう思いますか?採血して血糖値を測ること一切なしに糖尿病の薬を渡されたらどう思いますか?どうしても特別視されがちな精神科領域の治療ですが、このあたりは他の科と違いはないのです。(そして、たぶん、高血圧の人の血圧の数値が「単に下がる」ことよりも、たとえばパニック障害の人のPDSSの数値が「単に下がる」ことの方が、価値のあることなのです。この辺りのことについては、別の機会に説明できれば、と思います。)

これまでも、これからも、当たり前のことを、当たり前に行う精神科・心療内科クリニックであり続けたいと考えています。