2016年10月13日木曜日

【祝・ノーベル文学賞】ボブ・ディラン

今年のノーベル文学賞はボブ・ディランでしたね。村上春樹と同じく、以前より受賞の噂がありましたので驚きませんでしたが、それにしてもすごいですね。久々に、昔買った彼の詩集を取り出してしまいました。

私、以前とある場所で、聴衆を前にボブ・ディランの歌詞を朗読したことがあるのです。選んだのは、"Like A Rolling Stone"という、彼の代表曲の中の代表曲です。

歌詞はこんな感じです。

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昔、あんたは着飾ってたね 物乞いに恵んでいたっけ
周りのやつはこう言ってただろう
「気をつけな。今に転落するぞ。」ってね
あんたはそれを笑っていた

いま、あんたは声を潜めてる
いま、あんたは鼻にかけることもしない
次の食事をどうするかってことについてね

一流校に通っていたんだっけ、お前さんは
得たものといえば、ただ搾り取られることに慣れただけ
道ばたでの生き延び方なんて、誰も教えてくれりゃしなかった
いま、お前さんはそれに慣れなきゃいけない

妥協はできないって言ってたね 
どこの馬の骨かわからないやつは嫌だと
だけどな、あいつだってアリバイを売ってたわけじゃないんだ
彼の真空の目を覗いて尋ねてみるといい
「あなたは取引がしたいの?」ってね
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破産した金持ちや、没落した元上流階級の人間を痛めつけているだけのようにも聞こえますね。

このあと、彼はこう問いかけます。

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How does it feel?
How does it feel?
To be without a home
Like a complete unknown, like a rolling stone

どんな気がする?
どんな気がする?
宿無しで、誰にも知られていない
まるで転がる石のように
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さらに駄目押ししてるようにも聞こえるでしょうか?私はそう感じませんでした。はじめてこの歌詞を読んだ時、なぜか暖かさを感じたことを覚えています。彼が問いかけている人たち、金や地位に恵まれていたその人たちは、偽りの人生を送ってきたのではないでしょうか。

さあ、ありのままの自分を見つめてみろ。そこから何が見える?何を感じる?しっかり考えてみろよ。お前はこれから自分の足で人生を生きていくんだから。身一つになった彼ら/彼女らに、彼が厳しくも、優しく、問いかけているように思えるのです。

以上、ロックの歴史を変えたと言われる名曲中の名曲に対する、中学生の頃からの私の勝手な解釈を開陳してみました(笑)。

ボブ・ディランさん、本当におめでとうございます!