2016年4月6日水曜日

うつ病での休職中に生じるさまざまな困りごとについて

うつ病が悪化し、働き続けることが困難になった場合、休養と治療のため、仕事をお休みすることになる場合があります。

・休職中は何をすれば良いのだろう?
・平日の昼間に外出すると罪悪感が出てくる。同僚や上司は働いているのに...。
・何かしろと言われても...。やる気が出てこないので、自宅でじっとしている。
・休職中の会社との連絡はどうすれば良いのだろうか?
・夜になると、今後のことを考えて不安になったり焦ったりしてしまう。
・図書館に通えと会社から言われたけど...
・家族はどのように対応したら良いのだろうか?
・少しくらいなら家事をしてもらっても良いのだろうか?

休職中の方や、その家族からよく聞かれることばです。せっかく休んでいても、なかなか気が休まらない方も多いようです。当クリニックでは、上記に挙げたような「休職中の困りごと」について丁寧にトラブルシューティングし、「回復を妨げる悪循環」から脱出できるようなお手伝いをしていきます。

念願の復職が叶い、少しずつ自信を取り戻していかれる方々の姿を、一人でも多く見届けることができるよう、当クリニックとしても努力を重ねていきたいと考えています。








2016年3月16日水曜日

不安は「有害な」感情で、除去すべき「症状」?

医学では、人間をある種のロボットのようにみなすことがあります。

つまり、病気になった人は、全身のどこかのパーツや回路に異常や不具合があるとみなすのです。ですから、病気を治すためにはそのパーツや回路を取り外す/修理調整する(手術)、交換する(移植)、油をさす/充電する(投薬)ことで対応するわけです。機械主義的な世界観とでも言えるでしょうか。このやり方で、西洋医学はめざましい進歩を遂げてきました。

この考え方(医学モデル)は、精神科領域にももちろん適用されています。ただし、こういったやり方が精神科領域では有害となりうることもあるのです。その代表格が「不安・不安症状」への対処です。

不安・不安症状に対して、我が国では抗不安薬(いわゆる精神安定剤)が頻用されています。多くの場合、不安・不安症状を「有害症状」として捉え、これを「除去」するという狙いのもと抗不安薬が処方されているように感じます。

不安を除去しようとする試みは、うまくいかないこともあります。なぜならば、不安は私たちにとって必要な感情だからです。抑え込もうとすればするほど膨れ上がったり、よしんばうまくいったようにみえても、その代償として活き活きとした感情もろとも抑え込んでしまうことにもなりかねません。

不安・不安症状は除去するのではなく、波乗りをするがごとく、あるがままに乗りこなしていくことが肝要です。もちろん、一筋縄ではいかないのですが、そのお手伝いをさせていただくのが、私の役目の一つと考えています。ご相談をお待ちしております。


2016年2月3日水曜日

パニック障害の標準的な治療について

パニック障害の治療法は二つに大別できます。

ひとつは薬物療法。標準的にはSSRIという種類の抗うつ薬を使用します。他にもある種の三環形抗うつ薬などが有効であることがわかっています。

もうひとつは精神療法です。標準的なものとしては認知行動療法になるでしょう。他にも支持的精神療法、精神分析的精神療法、対人関係療法などが有効であることが示されています。

パニック障害は、数ある精神障害の中でも、治療に反応しやすいもののひとつです。もちろん例外もあるのですが、多くの場合、標準的な治療(すなわちSSRI、または認知行動療法、もしくは両者の組み合わせ)で症状が改善していきます。

しかし、ここでひとつの問題があるのです。「標準的な治療」というのは、「どこでも当たり前に提供されている治療」ということを意味しません。今後当ブログでも触れたいと思っていますが、ひとつの医療機関が、ある精神障害に対して、標準的な治療選択肢を提供できる、ということに対するハードルは、実は意外に高いのです。

当クリニックではパニック障害に悩む方に対して、上記の「標準的な治療」を提供することが可能です。これからも、批判的なものを含めた誠実な研究がなされ、一定の効果が示されている標準的な治療を重視し、これを皆様に提供できるように研鑽を続けたいと考えています。












2015年12月26日土曜日

ドリー・パートンとホイットニー・ヒューストン、そして、自分の言葉で語ること

I Will Always Love Youというバラードの名曲があります。我が国でも認知度が非常に高い曲と思います。今は亡きホイットニー・ヒューストンの主演映画であるボディーガードのクライマックスで歌われる曲といえばお分かりでしょうか。ホイットニーバージョンはとにかく力強く、まさにパワーバラードといった趣です。

この曲は、もともとはドリー・パートンというカントリー歌手のオリジナル曲です。彼女も超ビッグネームなのですが、我が国ではそこまで知られていないのではないかと思います。オリジナルバージョンは、ホイットニーバージョンとは対照的で、今にも糸が切れてしまいそうな物哀しい雰囲気が漂っています。

私は、オリジナルバージョンの方が、遥かに好みです。どうしてオリジナルの方が優れていると感じるのか、もちろん説明はできるのですが、どうしても、ホイットニーさんの方を貶してしまうような表現になってしまいますし、どうもしっくりこないなあ、とずっと感じていました。

で、先ほどネットをぶらぶらと探索していたところ、これだ!というコメントを見つけました。英語のコメントでしたが、そこにはこう書いてありました。

「ホイットニーも素晴らしい。だけど、誰もドリーのオリジナルは越えられない。この曲を、感じて、生きて、書いたのは彼女なのだから。」

これ以上の説明はないな、と思います。

患者さんが自身の体験や挑戦を経て、状態の改善につながる大きな発見をし、そしてそれについてご自分の言葉で語ってくださる時があります。私がこの仕事していてよかったと思う瞬間の一つです。そういったときに語られる言葉の一つ一つに強い生命力と、説得力を感じるのです。なぜなのか。ネット上で見つけた、先ほどのコメントに、その答えがあるような気がします。

それでは、また。




2015年12月15日火曜日

社交不安障害(社交不安症)を持つ方の第一関門

当クリニックの一つの特徴として、不安障害(不安症)をお持ちの方の割合が比較的多いことが挙げられるかと思います。数ある医療機関やカウンセリングルームの中から、当院を選んでいただき、有り難く思うと同時に、身の引き締まる思いです。

そういった不安障害の中でも、社交不安障害について今日はお話ししたいと思います。社交不安障害をお持ちの方々は、他者との交流状況(社交状況)において強い不安や身体症状が出現し、日々の生活に支障を起こすことが主な困りごとです。当クリニックに初めて受診する際には、当然ながら受診予約をする必要があります。そう、当クリニックに電話をして、受診の予約を取る一連の作業そのものが、場合によっては恐れる状況そのものになっているのです。

当クリニックでは、ウェブサイトからの初診問合わせも可能です。電話が難しい場合には、そちらからご連絡をいただけますでしょうか。(結局のところ、初診予約を完了させるためには私、もしくはクリニックスタッフと一度電話でお話しをすることにはなりますが...。)

いずれにしても、社交不安障害の皆さんにとっては、クリニックの受診予約を取ること自体が第一の関門となります。そして、そこから治療は始まっていると考えてください。私は、この病気を持つ数多くの方々と接してきました。勇気を振り絞って不安な状況に直面することがどんなに大変なことなのか、ある程度は理解しているつもりです。

ご連絡をお待ちしています。

2015年12月7日月曜日

高知大学病院で講演をしてきました

12月5日の17時から、高知大学病院の医学部キャンパスで認知行動療法の講演をしてきました。移動のため、当日の外来終了時間が早くなりご迷惑をおかけしました。また、早めの受診にご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。

当日は予想を上回る参加者数で、精神科医以外にも多職種の方々にご来場いただけたようです。講演タイトルは「いちからわかる認知行動療法」でした。ひとつでも多くの知識を家に持ち帰っていただけていたら、認知行動療法への興味を深めていただけたとしたら嬉しいなと思います。

講演後は、お呼びいただいた先生を中心に、高知大学精神科医局の先生方とお話し、多くのことを学びました。大学病院医師の仕事は、臨床、研究、教育、地域医療の拡充など多岐に渡ります。先生方の熱意に触れ、ますます明日からの日々に対するモチベーションが高まってくるのを感じました。

参加いただいた皆様、お呼びいただいた先生、高知大学精神科医局の先生方、本当にありがとうございました。

2015年11月3日火曜日

The Price You Pay - Bruce Springsteen

Bruce Springsteenを紹介します。我が国の音楽シーンにも多大な影響(有名どころでは、尾崎豊、佐野元春、長渕剛あたりでしょうか)を与え続けてきた偉大なロックシンガーです。

(それぞれの熱心なファンの方々は一緒にするなと怒りそうですが、)尾崎、佐野、長渕と聞いてどんな音楽スタイルをイメージされるでしょうか。スタジアムなどの大きな会場で、悩める若者たちを鼓舞する熱きカリスマといった光景ではないでしょうか。

それは、部分的には当たっているのですが、私が好きなブルースはそこではありません。彼は、非常に内省的な歌詞を書きます。要するに暗いのです。この暗さに惹かれます。一番好きな曲は、「Wreck On The Highway」という曲なのですが、この曲は交通事故の光景が詳細に語られる曲であり、心療内科・精神科クリニックのブログとしては、紹介するのが適切でないと考えられるので控えます。

同じくらい好きな曲として、「The Price You Pay」という曲があります。人生の選択につきまとう代償について歌われている曲です。(どちらの曲も、The Riverという傑作アルバムに収められています。)

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Little girl down on the strand 
With that pretty little baby in your hands 
Do you remember the story of the promised land 
How he crossed the desert sands 
And could not enter the chosen land 
On the banks of the river he stayed 
To face the price you pay 

その手に愛らしい赤ん坊を抱いた少女が水辺に佇んでいる
約束の地の物語をお前は覚えているだろうか
彼が如何に砂漠を越えたのか
選ばれた地に入ることが許されず岸辺に立ち止まっていたのかを
払うべき代償に直面するために

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生きるということは行動の選択を連続していくことであり、そして、そこには必ず代償がつきまとう。代償に怯えて生きていくのか、それとも...

高校生の頃、この曲を聴きながら、いろいろと考えを巡らせていたことを覚えています。われながら暗い高校生ぶりに呆れてしまいますが(笑)、まあこうして毎日踏ん張っているので良しとします。明日も診療です。来院予定の皆様、よろしくお願いします。